院内だより

失敗しない矯正治療のためにやってほしいこと Ⅱ

前回までは、矯正治療をするための心構えについてお話しました。今回は、矯正治療で失敗しないための医院探しのヒントと、治療を開始するまでの流れについてご説明します。


7.信頼できる医院を探す

失敗しない矯正治療のためには、信頼できる矯正歯科医院を探しましょう。今はホームページやSNSが充実しているので探しやすくなりましたが、ありすぎて分からないというお悩みもあるかもしれません。

まずは、しっかりした知識と技術、経験のある矯正歯科医のいるオフィスを探してください。矯正歯科医には認定医と専門医があります。認定医は「日本矯正歯科学科の試験に合格し矯正歯科に5年以上従事している医師」、専門医は「特定症例の治療に合格し、矯正治療に7年以上従事している医師」。どちらも矯正の経験を積んでいる医師の方々です。歯科と矯正歯科の両方をやっている医院であれば、矯正治療をしてくださる医師の方が矯正歯科医であるかどうかも確認されるとよいでしょう。

また、医院を探すときに、非抜歯(歯を抜かないで治療をすること)をうたっているクリニックがあるので、その点についてもしっかり考えてみてください。健康な歯を抜くことにためらいがある方は多いものです。あなたが絶対に抜歯は嫌だと思われるのであれば、そういう医院を選ばれたほうがよいでしょう。

当院は抜歯をするオフィスですが、それには理由があります。現代人の歯の本数は28本、親知らずが生える人は32本ですが、顔の大きさや歯が生えるスペースは、人それぞれ異なります。歯が並んで萌出するスペースが十分にない場合、歯は混雑して出てきてしまいます。そういう方が歯を抜かないで矯正しようとすると、口腔内を無理やり拡張することになるでしょう。拡張すればそれは顔立ちに影響してきます。顎関節にも無理がかかるかもしれません。明確な治療目標に向かって正しい診断をしたとき、抜歯をするという選択は理にかなったことです。

どうぞ賢い選択をしてください。


8.初診の予約を取り、医師と話をする

信頼できそうな医院が見つかったら、初診の予約をとり、実際に治療をしてくれる矯正歯科医の先生と直接話をしましょう。自分の主訴(矯正をしたい理由)を聞いてくれて、この医院ではどのような治療を受けることができるのかを説明してもらいましょう。専門の医師のアドバイスを聞けるのですからお金はかかりますが、その分じっくりと時間をとって、患者さんに寄り添った説明をしてくれるはずですし、そういう医院をお勧めします。

当院の初診は、一人30分ほど時間をとって行います。治療に関する様々な話をする中で、もしかしたら、先生から、家族の顔立ちや、小さい頃に頭や顎を打ったことがあるかなどを聞かれるかもしれません。お子さんであれば、ご家族の顔立ちから、お子さんの成長した顔立ちの予想をたてたりしますので、可能であればご両親も一緒に初診にいらっしゃるとよいでしょう。顔が非対称の方は、どこかで顎を打った影響を受けているかもしれませんので、成長過程で首から上の怪我をしたことがある場合は、思い出してみましょう。


9.記録検査をうけ、結果を聞く

初診のあとは、検査を受け、どのような矯正治療になるかの検査結果を聞く、という流れにどの医院でもなると思います。矯正治療の方法は、正確な記録から導き出されます。しっかりとした検査を受け、その結果を、治療をしてくださる先生から直接聞きましょう。

当院の記録検査では、歯の模型や、レントゲン・スライド撮影、歯や歯肉の状態チェックといった検査の他に、顎関節を確認するためのCT撮影(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置の略)と、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置の略)を受けていただきます。CTは院内にありますが、MRIは神田にあるクリニックに行っていただきます。MRI検査は、患者さんの顎関節内の円板の動きやずれを確認するために当院が以前から取り入れている検査です。これらすべての資料が整ったら、2週間ほどで検査結果が出ます。目標となる歯並びと顔立ち、そのための治療方法と治療期間、費用などをしっかり聞きましょう。


10 最終判断をしましょう

さあ、ここまで来たら、やるかやらないかはあなた次第です。

私は幼い時に前歯が斜めに生えてしまい、それをずっと気にしていました。26歳の頃、クリーニングに訪れた歯医者さんでそのことを相談したら、前歯を削ってそこにセラミックの被せ物を入れる治療を説明されました。しかも、斜めに生えた前歯を削る際、歯の神経に達してしまった場合は神経を抜くというではありませんか。健康な歯を削ることも神経を取られることも嫌だった私は、クリーニングが終わったあとその歯医者に行くのはやめてしまいました。29歳でご縁があってヒルサイドビュー矯正歯科で働かせていただくことになり、仕事をしながら矯正治療をしていただきました。装置を入れる前に、顎関節を治療するスプリント治療を8か月ほどしたあと、矯正治療を約2年半、期間にして3年半ほどかかりましたが、装置を除去してから20年たった今も、顎の関節にも歯にもトラブルはなく、歯磨きもしやすく、マスクを取って写真を撮ることも嫌ではなく、矯正する前にたまに耳上がキーンと痛くなっていたあの痛みも今は全く起こらず(それが治療のおかげかわかりませんが私はそう思っています)、自分の歯で硬いものでもなんでもおいしく食事ができていますから、ここで矯正治療ができてよかったと心から思っています。

皆さんにはぜひ、矯正治療に正しい知識と理解をもって、失敗しない矯正治療をしていただけることを切に願っています。

誰かに背中を押してほしい方は、私が押してあげます!やったらいいと思いますよ!



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当院で治療された患者さんのビフォーアフターです。
斜めからも横からも整っていて美しいですね。

2023年11月27日 23:15

失敗しない矯正治療のためにやってほしいこと Ⅰ 

1.やりたい理由を考える

どうして矯正をしたいと思いましたか?

 歯並びが悪いといっても、その症状は人それぞれ異なります。例えば、犬歯が突出している(八重歯)、歯と歯の間にすき間がある(すきっ歯)、かみ合わせが逆になっている(受け口)、前歯でものが噛めない(開咬)、前歯が突出している(出っ歯)など。
 口元が出ているなど、顔の見た目が気になっているかもしれません。
 機能に問題があるかもしれません。噛み合わせがずれていると食事をしにくいことがあります。今の状態が当たり前だと思っていませんか? 本当の噛み合わせを体験したら、食事がよりおいしく食べられるかもしれません。
 歯ぎしりがひどいという人もいるかもしれません。自分の歯をよく見てみて下さい。歯がすりへってしまってはいませんか?健康な歯は、歯に凹凸があります。
 仕事中歯をくいしばっているという人もいるかもしれません。頬の筋肉が硬くなってはいませんか?顎関節と噛み合わせが調和していない可能性があります。

矯正をしたい理由、その主訴は人それぞれ異なります。どうして矯正治療をしたいと思ったのか、まずその理由を考えてみてください。


2.鏡で歯並びをチェックしてみよう

鏡で自分の歯をよく観察してみましょう。どうなっていますか?
まずは自分の歯並びをチェックしてみてください。


3.歯科矯正でできることを理解する

矯正で何ができるのかをしっかり知ることはとても大事なことです。

(1)顔立ちがかわる

(2)顎の関節と歯並びの調和

(3)歯を支える組織が変わる

(4)歯並びが変わる

矯正することで小顔になるというメリットもあるようです。


4.矯正のデメリットを知っておく

矯正は、歯の上にブラケットという装置をつけてそれにワイヤーを通し、歯を動かしていくやり方が主流です。すべての歯を並べるのには時間もかかりますし、ワイヤーを締めた時は歯が動くため痛みも伴います。食事は装置にひっかかって食べにくいですし、歯磨きも大変です。矯正治療を受ける時のリスクについてあらかじめ知っておきましょう。

最近、マウスピース矯正やインビザラインという単語をよく耳にするようになりました。ワイヤー矯正に比べ、時間もお金もかからないということで、若い世代を中心に人気があるそうです。実際にマウスピース矯正やインビザラインを行っているクリニックのホームページをいくつか拝見しましたが、検査をして奥歯のかみ合わせや歯並びに大きな問題がなければ治療が受けられ、部分的な矯正でよいため短期間で治療が終わり、装置代がかからないから値段も安くなるという説明をされていました。ですが「検査をして…大きな問題がなければ」というところや「部分的な矯正」というところは気になってしまいます。
 
皆さんは、マウスピース矯正に関して訴訟が起きていることをご存知ですか?
『実質無料で歯科矯正ができるとしてモニターの契約をしたのに高額の費用を払わされたうえ、治療を中断され歯並びが悪くなるなどの健康被害を負ったと主張して全国各地の女性など150人余りが歯科医院などにあわせて2億6000万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。(NHK首都圏NEWSウェブ2023.6.6より)』

このニュースで、マウスピース矯正を受けた方の中には歯を削られ今も歯がしみる状態ですと訴えていた方もいらっしゃいました。マウスピース矯正では健康な歯を削ることもあるのだということを知りました。

「短期間で安く矯正治療をしたい」という人には、マウスピース矯正やインビザラインは夢のような治療法に思えるでしょう。けれど、適正な期間とそれなりの費用をかけて行うワイヤー矯正に比べ、本来得られるはずのメリットのすべてを得られることはなさそうです。

5.矯正治療の費用について知っておく

矯正治療には高額な費用がかかることは覚悟すべきでしょう。きちんとした治療を受けたいなら100万円はかかると思ってください。確かにそれだけを聞くと「高い!」と思われるでしょうが、インプラントという治療と比較してみたらどうでしょうか。

インプラントとは、人工の材料や部品を体に入れることの総称です。歯を失ったところの骨に土台を埋め込み、セラミックなどで作った人工歯を取り付けます。インプラント1本の費用相場は保険適用外で1本30万~40万円といいますから、28本もしくは32本の歯を並べる矯正治療の100万円は高い値段なのでしょうか?

入れ歯になってしまったことを考えてみて下さい。きっと歯医者に頻繁に通院することになるでしょう。入れ歯装着材や入れ歯洗浄剤も必要です。入れ歯になってしまったということは、自分の歯がだめになってしまったということです。虫歯や歯石を放置し、歯周病や歯肉炎を悪化させてしまい、神経に達するほど歯を悪くしてしまったら、その歯は抜かざるを得なくなります。インプラント治療をすればよいと思っていても、その時に骨や歯肉の状態がよくなければ、インプラントもできません。

高齢になったら入れ歯は仕方のないことですか?いえいえ、そんなことはありません。矯正で歯を並べると同時に歯のトラブルを直しておけば、1年に一度のクリーニングだけで、歯医者に頻繁に通う必要も、入れ歯治療も、入れ歯にかかる洗浄剤や装着材も必要ありません。

ブランドバッグや宝石の購入をちょっと我慢して、エステに通いジムに行くのをちょっと後回しにして、歯科矯正を考えてみませんか?矯正は「美しい笑顔」と「おいしい食事」を一生手にすることができることだと最初に述べました。高額な費用を払って得られる結果に満足ができるのなら後悔はないでしょう。


6.気持ちを固める

ここまで読んで、興味だけではなく実際にやろうと思ってくださった方!
ぜひ、アクションを起こしてください。

今はちょっとやめておこうと思われた方も、いつかその気になった時にはぜひアクションを起こしてくださいね。

気持ちを固めた方は、歯科矯正をしてくれるオフィスを探しに行きましょう。
次回の院内だよりでは、矯正オフィスの探し方についてお話します。

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2023年11月14日 01:27

歯を矯正したいと思った方へ ~矯正で失敗しないためにやってほしい10のこと~

 歯の矯正に興味をお持ちになったあなたは、「美しい笑顔」と「おいしい食事」を一生手に入れるための第一歩を踏み出したことになります。歯並びがよくなると、誰かに自分の歯並びを見られるのが嫌ではなくなります。むしろ自信を持ってそれを見せることができますから、笑顔も自然と美しくなるものです。また、歯並びが良くなると、歯磨きがしやすくなり、磨き残しが減ることで虫歯も減り、歯周病や歯肉炎といった歯のトラブルもケアしやすくなりますから、生涯自分の歯で食事をすることができるでしょう。歯の矯正をすることで、「美しい笑顔」と「おいしい食事」を一生手に入れることができるといったのには、実はこういう理由があります。

 この「院内だより」を読んでくださった方には、ぜひとも矯正治療を興味だけで終わらせずに、きちんとした治療を受けて、治療後に訪れる素晴らしい生活を手に入れていただきたいと思います。ただ、残念ながら矯正治療でトラブルが起こることも稀ではありません。そこで、失敗しない矯正治療をするためにぜひやってほしいことを10個にまとめてみました。

1.やりたい理由を考える
2.鏡で歯並びをチェックしてみよう
3.歯科矯正でできることを理解する
4.矯正のデメリットを知っておく
5.矯正治療の費用について知っておく
6.気持ちを固める
7.信頼できる医院を探す
8.初診の予約をとり、院長と話をする
9.検査を受け、その結果を聞く
10.最終判断をしましょう

次回の院内だよりで、それぞれの内容について詳しく説明します。
ビューティフルスマイルを提供する歯科矯正の世界へ導くお手伝いになれば幸いです。


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2023年11月10日 18:00